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【第13回】リピーターとリピーターハブ ― 弱った信号を元気にする中継の話

結論

電気信号は距離とともに弱まる「減衰(げんすい)」という問題を抱えています。その対策として登場したのが、信号を増幅して送り直すリピーターと、それを複数台接続できるよう発展させたリピーターハブです。ただしリピーターハブには、信号をすべてのポートに流してしまうという限界がありました。


はじめに

前回のおさらい

前回は、電気信号が抱える3つの障害を紹介しました。

  • 減衰(Attenuation):距離とともに信号が弱まる
  • 干渉(Interference):外からのノイズで信号が乱れる
  • 衝突(Collision):複数の信号がぶつかって混ざり合う

また、データの「0と1の並び」が何を意味するかは、あらかじめ決めた約束事=プロトコルにのっとるということも触れました。

今回のテーマ

3つの障害のうち、今回は減衰に向き合います。「弱まってしまった信号をどうするか」という問いへの答えが、リピーターリピーターハブです。


減衰のおさらい

電気信号はケーブルを進むにつれてエネルギーを失い、だんだん弱くなっていきます。信号が弱くなりすぎると、受け取った側が「これは0?1?」と判断できなくなり、通信エラーが起きます。

イメージ:遠くにいる友達への呼びかけ どんなに大きな声で叫んでも、距離が離れるほど声は弱まります。そのままでは伝わらなくなってしまいます。

では、どうすれば遠くまで信号を届けられるでしょうか?


リピーター(Repeater・中継器)

発想はシンプル「途中で元気にしてあげる」

リピーター(Repeater)の「Repeat(リピート)」は「繰り返す・中継する」という意味です。弱まった信号を途中で受け取り、元の強さに増幅してから送り直す機器です。

イメージ:駅伝のたすきリレー 長距離を一人で走り続けるのは難しくても、途中で次の走者にたすきを渡せば、チーム全体として遠くまでたすきを届けられます。リピーターはまさに「中継地点の走者」です。弱まった信号を受け取り、元気な状態にして次のケーブルへ渡します。

リピーターの特徴

  • ポートが2つ(入口と出口)しかない、シンプルな機器
  • 信号の「内容(データ)」は一切関知せず、電気的に増幅して流し直すだけ
  • ケーブルを延長するために使う、というイメージが近い

リピーターハブ(Repeater Hub)

リピーターを「多口化」した機器

リピーターは2台のコンピューター間でしか使えません。しかし実際のネットワークでは、複数台のコンピューターをつなぐ必要があります。そこで登場したのがリピーターハブです。

リピーターハブは、リピーターの「信号を増幅して送り直す」機能を持ちつつ、複数のポートを備えて複数台のコンピューターをまとめてつなぐことができます。

イメージ:増幅機能付きのタコ足配線 電源タップ(テーブルタップ)が複数の家電をひとつのコンセントにつなぐように、リピーターハブは複数のコンピューターをひとつのネットワークにつなぎます。しかも、弱まった信号を増幅してから各ポートに届けてくれます。

リピーターハブの動き方

リピーターハブには、ひとつ大きな特徴があります。それは、あるポートに届いた信号を、接続されているすべてのポートに流すという動作です。これを**ブロードキャスト(Broadcast・一斉送信)**と呼びます。

たとえば、AさんがBさんにデータを送ったとき、リピーターハブはCさんやDさんのポートにも同じ信号を流します。Bさん以外は「自分宛てではない」と判断して無視しますが、信号自体はみんなに届いてしまっているのです。


リピーターハブの限界

全員に流すから「衝突」が起きやすい

すべてのポートに信号を流すということは、複数のコンピューターが同時に送信しようとすると、信号がケーブルの中でぶつかり合ってしまいます。前回紹介した「衝突(Collision)」です。

接続台数が増えれば増えるほど、衝突の起きる確率も上がり、ネットワーク全体の速度が落ちていきます。

リピーターとリピーターハブの違いまとめ

リピーター リピーターハブ
ポート数 2つ 複数
主な用途 ケーブルの延長 複数台の接続
信号の送り先 出口のポートのみ 接続されたすべてのポート
衝突の問題 少ない 台数が増えると起きやすい

まとめ

  • 減衰への対策として、信号を増幅して送り直すリピーターが登場した
  • リピーターを多ポート化し、複数台をつなげるようにしたのがリピーターハブ
  • リピーターハブは信号をすべてのポートに流すため、台数が増えると衝突が起きやすくなるという限界がある

この「衝突しやすい」という問題を根本から解決したのが、スイッチングハブです。スイッチングハブについては第15回で改めて深掘りします。次回は電気信号の別の天敵、**干渉(ノイズ)**への対処法を見ていきましょう!