この記事でわかること
- ネットワーク初期は、1本のケーブルを全員で共有する バス型ネットワーク という方式が使われていた
- ケーブルの途中に物理的な穴を開けて、 トランシーバー という機器をはめ込む形で接続していた
- そのトランシーバーは吸血鬼が牙を立てる見た目から、 ヴァンパイアタップ とも呼ばれていた
はじめに
前回の記事では、、パソコン1台とプリンター1台をケーブル1本で直接つなぐ、もっともシンプルなネットワークを取り上げました。。
自宅ならこれで十分かもしれません。でも学校やオフィスはどうでしょう。パソコンもプリンターも何台もあります。「2台だけのネットワーク」では到底足りません。
今回からは、3台以上のコンピューターをつなぐ技術について勉強していきます。まず今回は、ネットワークが生まれたばかりの頃、複数台のコンピューターをどうやってつないでいたのかを見ていきます。
※昔の話をしてどんな意味があるんだ、って思う方もいらっしゃるかと思いますが、現代のネットワークをしっかり理解するためには必要な話になりますので、お付き合いください!
1本のケーブルをみんなで共有する――バス型ネットワーク
現代の感覚だと、「台数が増えたらケーブルを増やせばいい」と思うかもしれません。自宅に置いてあるこんな機器を思い浮かべた方もいるでしょう。
ケーブルの差し口がいくつもあって、パソコンを1台ずつつなぐ、あの機器です。これなら簡単に接続台数を増やせますね。
ところが、ネットワーク初期の頃に上の画像のような仕組みを作るのは、当時の技術ではコストが非常に高いため困難でした。
そのため、別の方法として当時採用されたのは「1本の長いケーブルをみんなで共有する」という方法です。
この構成を バス型ネットワーク といいます。英語では Bus Topology(バス・トポロジー) と表記します。
- Bus(バス):路線バスの「バス」のことです。ここでは「一本の道路にバス停が点在している」イメージでこの言葉が使用されています。そのイメージ通り、1本のケーブル沿いに複数のパソコンが並びます。
- Topology(トポロジー):「並び方」「配置パターン」を意味する言葉です。ネットワーク機器の接続の形を表すときによく使われます。
1本の道路(ケーブル)があって、そこに複数のバス停(各パソコン)が並んでいる。どのバス停も同じ道路を使っているのと同じように、全パソコンが1本のケーブルを共有して通信していました。
ケーブルに穴を開けて接続する――トランシーバーの登場
1本のケーブルに複数のパソコンをつなぐ、とは言っても、どうやって?
方法はシンプルというか、なかなかダイナミックです。ケーブルの途中に物理的に穴を開けて、そこに専用の機器をはめ込みます。その機器が トランシーバー(Transceiver) です。
英単語を分解するとこうなります。
- Trans(トランス):「送る・伝える」を意味する接頭語。Transmit(送信する)の Trans と同じです。
- Ceiver(シーバー):「受け取る」を意味する部分。Receive(受信する)から来ています。
つまりトランシーバーは、「送信と受信の両方をこなす機器」 という意味合いの名前です。ケーブルから信号を受け取り、かつケーブルへ信号を送り出す役割を担っていました。
接続の手順はざっくりこうです。まず太いケーブルの被覆に穴を開け、金属の針をケーブル内部の導線まで差し込みます。そこにトランシーバーを固定して、パソコンとケーブルをつなぐ接続ポイントを作る。台数を増やしたければ、ケーブルの別の場所にまた穴を開けて同じことをくり返す、という流れです。
吸血鬼が牙を立てる――「ヴァンパイアタップ」という別名
このトランシーバー、見た目がなかなかインパクトがあります。ケーブルに穴を開け、底から金属の針をぐっと刺し込む構造。その姿から、もう一つの呼び名がついています。
ヴァンパイアタップ(Vampire Tap) です。
- Vampire(ヴァンパイア):吸血鬼のこと
- Tap(タップ):「穴を開ける」「引き出す」という意味。水道の蛇口(tap)から水を引き出すイメージです。
吸血鬼が牙でぐっと首に噛みつくように、ケーブルに金属の牙を立てて信号を「引き出す」。その見た目と動作がそのまま名前になっています。技術用語のわりに、妙に視覚的でわかりやすいですよね。
この方法を使えばケーブルの途中に何台でも接続ポイントを追加できたため、当時のオフィスや研究施設のネットワーク構築に広く使われていました。
まとめ
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| バス型ネットワーク(Bus Topology) | 1本のケーブルを全パソコンで共有する接続方式 |
| トランシーバー(Transceiver) | ケーブルに差し込んで送受信をこなす接続機器 |
| ヴァンパイアタップ(Vampire Tap) | トランシーバーの別名。ケーブルに牙を立てるような見た目から |
ネットワーク初期の「1本のケーブルをみんなで共有する」という発想は、現代の感覚とはずいぶん違います。でも当時はこれが現実的な方法でした。
次回は、このバス型ネットワークで実際に何が起きていたのか——共有するがゆえのトラブルについて掘り下げていきます。