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【第5回】バス型ネットワーク ― 昔のネットワークはケーブル1本を全員で共有していた?バス型ネットワークとヴァンパイアタップをやさしく解説

この記事でわかること

  • ネットワーク初期は、1本のケーブルを全員で共有する バス型ネットワーク という方式が使われていた
  • ケーブルの途中に物理的な穴を開けて、 トランシーバー という機器をはめ込む形で接続していた
  • そのトランシーバーは吸血鬼が牙を立てる見た目から、 ヴァンパイアタップ とも呼ばれていた

はじめに

前回の記事では、、パソコン1台とプリンター1台をケーブル1本で直接つなぐ、もっともシンプルなネットワークを取り上げました。。

パソコン1台とプリンター1台をケーブルで直結した構成図

自宅ならこれで十分かもしれません。でも学校やオフィスはどうでしょう。パソコンもプリンターも何台もあります。「2台だけのネットワーク」では到底足りません。

今回からは、3台以上のコンピューターをつなぐ技術について勉強していきます。まず今回は、ネットワークが生まれたばかりの頃、複数台のコンピューターをどうやってつないでいたのかを見ていきます。

※昔の話をしてどんな意味があるんだ、って思う方もいらっしゃるかと思いますが、現代のネットワークをしっかり理解するためには必要な話になりますので、お付き合いください!


1本のケーブルをみんなで共有する――バス型ネットワーク

現代の感覚だと、「台数が増えたらケーブルを増やせばいい」と思うかもしれません。自宅に置いてあるこんな機器を思い浮かべた方もいるでしょう。

ルーターやモデムの画像

ケーブルの差し口がいくつもあって、パソコンを1台ずつつなぐ、あの機器です。これなら簡単に接続台数を増やせますね。

ところが、ネットワーク初期の頃に上の画像のような仕組みを作るのは、当時の技術ではコストが非常に高いため困難でした。

そのため、別の方法として当時採用されたのは「1本の長いケーブルをみんなで共有する」という方法です。

バス型ネットワーク/バス型トポロジーの画像

この構成を バス型ネットワーク といいます。英語では Bus Topology(バス・トポロジー) と表記します。

  • Bus(バス):路線バスの「バス」のことです。ここでは「一本の道路にバス停が点在している」イメージでこの言葉が使用されています。そのイメージ通り、1本のケーブル沿いに複数のパソコンが並びます。
  • Topology(トポロジー):「並び方」「配置パターン」を意味する言葉です。ネットワーク機器の接続の形を表すときによく使われます。

1本の道路(ケーブル)があって、そこに複数のバス停(各パソコン)が並んでいる。どのバス停も同じ道路を使っているのと同じように、全パソコンが1本のケーブルを共有して通信していました。

ケーブルに穴を開けて接続する――トランシーバーの登場

1本のケーブルに複数のパソコンをつなぐ、とは言っても、どうやって?

方法はシンプルというか、なかなかダイナミックです。ケーブルの途中に物理的に穴を開けて、そこに専用の機器をはめ込みます。その機器が トランシーバー(Transceiver) です。

英単語を分解するとこうなります。

  • Trans(トランス):「送る・伝える」を意味する接頭語。Transmit(送信する)の Trans と同じです。
  • Ceiver(シーバー):「受け取る」を意味する部分。Receive(受信する)から来ています。

つまりトランシーバーは、「送信と受信の両方をこなす機器」 という意味合いの名前です。ケーブルから信号を受け取り、かつケーブルへ信号を送り出す役割を担っていました。

トランシーバー/ヴァンパイアタップの画像

接続の手順はざっくりこうです。まず太いケーブルの被覆に穴を開け、金属の針をケーブル内部の導線まで差し込みます。そこにトランシーバーを固定して、パソコンとケーブルをつなぐ接続ポイントを作る。台数を増やしたければ、ケーブルの別の場所にまた穴を開けて同じことをくり返す、という流れです。


吸血鬼が牙を立てる――「ヴァンパイアタップ」という別名

このトランシーバー、見た目がなかなかインパクトがあります。ケーブルに穴を開け、底から金属の針をぐっと刺し込む構造。その姿から、もう一つの呼び名がついています。

ヴァンパイアタップ(Vampire Tap) です。

  • Vampire(ヴァンパイア):吸血鬼のこと
  • Tap(タップ):「穴を開ける」「引き出す」という意味。水道の蛇口(tap)から水を引き出すイメージです。

吸血鬼が牙でぐっと首に噛みつくように、ケーブルに金属の牙を立てて信号を「引き出す」。その見た目と動作がそのまま名前になっています。技術用語のわりに、妙に視覚的でわかりやすいですよね。

この方法を使えばケーブルの途中に何台でも接続ポイントを追加できたため、当時のオフィスや研究施設のネットワーク構築に広く使われていました。


まとめ

用語 意味
バス型ネットワーク(Bus Topology) 1本のケーブルを全パソコンで共有する接続方式
トランシーバー(Transceiver) ケーブルに差し込んで送受信をこなす接続機器
ヴァンパイアタップ(Vampire Tap) トランシーバーの別名。ケーブルに牙を立てるような見た目から

ネットワーク初期の「1本のケーブルをみんなで共有する」という発想は、現代の感覚とはずいぶん違います。でも当時はこれが現実的な方法でした。

次回は、このバス型ネットワークで実際に何が起きていたのか——共有するがゆえのトラブルについて掘り下げていきます。