この記事でわかること
- 「ネットワーク」という言葉の語源と意味
- 交通・物流・放送・人脈など、身近なネットワークの例
- 現代で「ネットワーク」といえばコンピューターネットワークを指す理由
- コンピューターネットワークのイメージと使われている場面
はじめに
「ネットワーク」という言葉は、ITの文脈以外でも使われています。物流ネットワーク、放送ネットワーク、人脈のネットワーク。分野が違っていても、同じ言葉が使われます。
これは偶然ではありません。語源をたどると、どのネットワークにも共通するしくみが見えてきます。
「ネットワーク」は網の目のように張り巡らされた組織や構造のこと
「ネットワーク(network)」という言葉は、英語の net(網) と work(構造物・細工) から成り立っています。直訳すると「網のように作られたもの」です。
魚網をイメージしてみてください。糸が縦横に張り巡らされ、複数の結び目がつながってひとつの形を作っています。この「網のような構造」が、ネットワークという言葉の出発点です。
現在では、単なる「網」という意味を超えて、網の目のように張り巡らされた組織や構造を指す言葉として広く使われています。
英英辞典の Cambridge Dictionary では、次のように説明されています。
“a large system consisting of many similar parts that are connected together to allow movement or communication between or along the parts”
訳:多くの要素が互いにつながり、移動や通信を可能にする大きな仕組み
(出典:Cambridge Dictionary)
定義の中に “allow movement or communication”(移動や通信を可能にする)という言葉があります。ネットワークとは、「つながっている状態」そのものではなく、つながることで何かが行き来できるようになった構造全体を指す言葉です。
道路が引かれただけでは交通ネットワークとはいえません。人や車が行き来できるようになって初めて、交通ネットワークとして機能します。「つながっている」ではなく「行き来できる」ことがネットワークの条件です。
ネットワークにはさまざまな種類がある
「ネットワーク」という言葉は、コンピューターの世界だけで使われるわけではありません。私たちの生活の中に、すでにさまざまなネットワークがあります。
交通ネットワーク
鉄道や道路が全国に張り巡らされ、都市と都市をつないでいます。駅や交差点が「結び目」となり、人や車が移動します。新幹線が開通すると「〇〇と東京が1時間でつながった」と報道されるのは、ネットワークの範囲が広がったことを意味しています。路線が増えるほど移動できる場所が増え、行動の選択肢が広がります。
物流ネットワーク
倉庫や配送拠点が全国に点在し、荷物が届けられます。北海道で収穫された野菜が翌日には九州の食卓に届くのは、拠点同士がつながっているからです。拠点が増えるほど配送ルートが増え、離島への配達や当日便の実現につながります。
放送ネットワーク
テレビやラジオの放送局が連携し、同じ番組を広い地域に届けています。東京のキー局が制作した映像が、同じ瞬間に全国の地方局を通じて何百万もの家庭に届くのは、放送ネットワークという構造があるからです。一か所からの発信を多くの人が同時に受け取れるのも、ネットワークならではの動きです。
人脈ネットワーク
ビジネスや日常でよく聞く「人脈」も、ネットワークの一つです。Aさんを通じてBさんを知り、BさんからCさんへと、人と人のつながりが広がります。このつながりを通じて、仕事の依頼や情報が流れます。「あの人に聞けばわかる」「あの人を通じて紹介してもらえた」という動きは、人脈ネットワークが機能している場面です。
どの例を見ても、「複数の拠点がつながり、何かが行き来できる構造」 という点は共通しています。流れるものが「人」「荷物」「映像」「情報」と異なるだけで、しくみとしては同じです。
ネットワークを形作る2つの要素
どのネットワークも、2つの要素で成り立っています。
一つは拠点です。交通ネットワークなら駅や空港、物流ネットワークなら倉庫や配送センター、コンピューターネットワークならパソコンやサーバーがこれにあたります。専門的にはノード(node)と呼ばれます。英語の “node” はもともと「結び目・節」という意味です。
もう一つは経路です。拠点と拠点をつなぐルートのことで、交通ネットワークなら線路や道路、コンピューターネットワークならケーブルや無線(Wi-Fi)がこれにあたります。
拠点だけあっても経路がなければ行き来できません。経路だけあっても拠点がなければどこにも届きません。この2つがそろって初めて、ネットワークとして機能します。
現代では「ネットワーク」=コンピューターネットワーク
もともと「ネットワーク」という言葉は、広い意味で使われていました。しかし現代では、「ネットワーク」と聞いてほとんどの人が思い浮かべるのは、コンピューター同士をつないだコンピューターネットワークです。
1990年代にインターネットが普及し、世界中のコンピューターが一つのネットワークでつながるようになりました。さらにスマートフォンの登場で、コンピューターを常に持ち歩いていつでもネットワークに接続することが当たり前になりました。その結果、「ネットワーク」という言葉はITや通信の文脈で使われる言葉として日常に定着していきました。
ネットワーク ≒ コンピューターネットワーク
以降の解説では、「ネットワーク」と記載した場合、特に断りがない限りコンピューターネットワークを指します。
コンピューターネットワークのイメージ
「コンピューター」とは、特別な機械のことではありません。パソコン、スマートフォン、プリンター、カーナビ、コンビニのセルフレジ、銀行のATMまで、データを処理する装置はすべてコンピューターと呼ばれます。
これらの機器は単体でも動きますが、コンピューターネットワークで互いに接続することで、データをやり取りできるようになります。
パソコンを1台持っているだけでも、文書の作成やゲームはできます。しかし電子メールを送ることも、インターネットで調べ物をすることも、ファイルを別のパソコンに送ることも、ネットワークにつながっていなければできません。毎日使う機能の多くが、ネットワークを前提として成り立っています。
コンピューターネットワークを使っている場面は、日常にたくさんあります。
- スマートフォンで動画サービスの映像を受け取る
- 自宅のパソコンから、会社のサーバーに保存しているファイルを開く
- オフィスの複数のパソコンから、1台の共有プリンターに印刷を送る
- オンラインゲームで世界中のプレイヤーとリアルタイムで対戦する
どの場面でも、「機器がつながっているから、データが届く」という動きが起きています。交通ネットワークで人が移動できるように、コンピューターネットワークではデータが動きます。
機器がつながることで何が変わるのかは、次の記事でくわしく見ていきます。
まとめ
- ネットワークとは、複数の拠点がつながり、何かが行き来できる「つながりの構造」のこと
- 交通・物流・放送・人脈など、身の回りにさまざまなネットワークが存在する
- どのネットワークも「拠点」と「経路」の2つの要素で成り立っている
- 現代では「ネットワーク」といえばコンピューターネットワークを指す
- コンピューターネットワークは、機器同士をつなぐことでデータのやり取りを可能にする
「つながることで、何かが流れるようになる」というしくみは、どのネットワークにも共通しています。コンピューターネットワークも、この構造の上に成り立っています。