結論
ケーブル共有方式では、ケーブルのどこか1か所が壊れるだけでネットワーク全体が止まってしまいます。この問題は、スイッチングハブを中心にして、各コンピュータを個別のケーブルで放射状につなぐ「スター型配線」 にすることで解決しています。1本のケーブルが壊れても、そのコンピュータ1台が切り離されるだけで、他のコンピュータはそのまま使い続けられます。
はじめに
前回のおさらい
前回は、ケーブル共有方式の欠点②「データが関係ないコンピュータにも届いてしまう」問題を解決する スイッチングハブ について学びました。
スイッチングハブは、MACアドレス(コンピュータ固有の住所)を使って、データを宛先のコンピュータにだけ届けられる機器でしたね。
今回のテーマ
いよいよ今回は、第6回から続いてきた「ケーブル共有方式の3つの欠点」の最後、欠点③を見ていきます。
| # | 欠点 | 対応する回 |
|---|---|---|
| ① | データが衝突してしまう | 第7回(CSMA/CD) |
| ② | 関係ないコンピュータにもデータが届いてしまう | 第8回(スイッチングハブ) |
| ③ | ケーブルに障害が起きると全体がダウンする | 今回(第9回) |
この問題がどうして起きるのか、そしてどうやって解決するのか、一緒に見ていきましょう。
本題:スター型配線が障害に強い理由
まず、問題をおさらいしよう
ケーブル共有方式(バス型とも呼ばれます)では、1本の長いケーブルに全員がぶら下がっています。
PC-A ─┬─ PC-B ─┬─ PC-C ─┬─ PC-D
| | |
(ここが断線!)
このとき何が起きるでしょう?
電気信号は1本のケーブルを流れてきます。どこか1か所でも断線や接触不良が起きると、信号がそこで遮断されてしまいます。結果、そのケーブルにつながっているコンピュータ全員が通信できなくなります。
これは、家の廊下に1本だけ通した延長コードにたとえられます。
廊下の延長コードにテレビ、冷蔵庫、電子レンジをつないでいる。 コードのどこかが断線すると、全部の電気が止まってしまう。
1か所の問題が、全体に影響してしまうのです。
解決策:「放射状」につなぎ直す(スター型配線)
この問題の解決策はシンプルです。
「1本のケーブルに全員をぶら下げるのをやめて、各コンピュータを個別のケーブルでスイッチングハブにつなぐ」 ことです。
この配線のかたちを、スター型(星型)と呼びます。中心にスイッチングハブがあり、そこから各コンピュータへケーブルが放射状に伸びる形が、ちょうど星のように見えることからこう呼ばれます。
PC-A
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PC-D ─── [スイッチングハブ] ─── PC-B
|
PC-C
先ほどの延長コードのたとえで言えば、こうなります。
廊下の延長コードをやめて、テレビ・冷蔵庫・電子レンジをそれぞれ壁のコンセントに直接つなぐようにした。 1か所のコードが断線しても、他の家電には影響が出ない。
スター型だと、なぜ障害が広がらないのか?
スター型では、各コンピュータがスイッチングハブと1対1のケーブルでつながっています。
BさんのPCとハブをつなぐケーブルが断線しても、それはあくまでも「BさんのPCとハブの間だけの問題」です。
PC-A ─── (正常)
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PC-D ─── [スイッチングハブ] PC-B ─── (ここが断線!でも他は無関係)
|
PC-C ─── (正常)
A・C・Dさんのケーブルはそれぞれ独立しているため、まったく影響を受けません。Bさん1台だけが切り離される形になります。
バス型が「廊下の延長コード」なら、スター型は「各部屋に独立したコンセント」のイメージです。
「スイッチングハブ自体」が壊れたらどうなるの?
ここで鋭い方は気づくかもしれません。
「中心のスイッチングハブが壊れたら、全員つながれなくなるんじゃないの?」
その通りです。スイッチングハブは、スター型ネットワークの 唯一の急所(単一障害点) になります。
ただ、これはバス型と比べると大きな改善です。
| バス型(共有ケーブル) | スター型(スイッチングハブ) | |
|---|---|---|
| ケーブル1本が壊れたとき | 全員ダウン | 1台だけ切り離される |
| 中心機器が壊れたとき | (中心機器がない) | 全員ダウン |
バス型ではケーブルのどの1か所が壊れても全体に影響しましたが、スター型ではハブが壊れない限り、1本のケーブル障害は全体に波及しないのです。
そして実際の現場では、重要なスイッチングハブは予備機を用意したり、2台を並列で動かすなど、壊れにくい工夫を重ねて使われています。
第6回からの旅をふり返ろう
第6回でケーブル共有方式の3つの欠点を紹介してから、4回かけてその解決策を学んできました。
| 欠点 | 解決策 |
|---|---|
| ① データが衝突する | CSMA/CD(ぶつかる前に聞く、ぶつかったらランダムに待つ) |
| ② 関係ないPCにもデータが届く | スイッチングハブ(MACアドレスで宛先だけに転送) |
| ③ 1か所の障害で全体ダウン | スター型配線(個別ケーブルで障害を局所化) |
そして①〜③の解決策はバラバラに存在するのではなく、現代のネットワークでは3つが同時に実現されています。 スイッチングハブを使ったスター型のネットワークは、CSMA/CDが不要なほど衝突が起きにくく、データは宛先だけに届き、1本のケーブル障害が全体に広がらない、という3拍子が揃っています。
まとめ
- ケーブル共有方式(バス型)の欠点③「1か所の障害で全体ダウン」を解決するのが スター型配線
- スイッチングハブを中心に、各コンピュータを個別のケーブルでつなぐことで、障害を1台だけに局所化できる
- スイッチングハブ自体が壊れると全体に影響するが、バス型の「どこが壊れても全体ダウン」よりはるかに堅牢
- 第6回から続いた「3つの欠点と解決策」がこれで出揃い、現代のイーサネットの基本形が見えてきた
次回からは、同じ建物内のネットワーク(LAN)を超えて、インターネットへとつながる仕組みを見ていきましょう!