スマートフォンやパソコンを使う以上、セキュリティの問題から完全に逃れることはできません。しかし、仕組みを知り、いくつかの習慣を身につけるだけで、被害にあう可能性は大きく下げられます。この連載では、専門知識がなくても実践できる対策を、脅威の仕組みから順に解説していきます。
この連載について
セキュリティの解説記事は数多くありますが、その多くは「〜すべきです」という結論だけを並べています。
複雑なパスワードを設定しましょう。怪しいリンクは開かないようにしましょう。ソフトウェアは最新に保ちましょう。
どれも正しい助言です。しかし「なぜそうすべきか」が分からないままでは、面倒になったときに守れなくなります。
この連載では 理由から説明します。 どんな手口があり、それによって何が起こり、だからどう対策するのか。この順序で理解すれば、対策の必要性が腑に落ちるはずです。
こんな方に読んでほしい
特別な知識は必要ありません。次のような方を想定しています。
- パスワードを使い回していて、なんとなく不安を感じている方
- 「怪しいメール」と言われても、何が怪しいのか分からない方
- セキュリティ対策をしたいが、何から始めればよいか迷っている方
- 家族や親のパソコンを管理している方
技術的な背景を知りたい方には、ネットワーク入門編もあわせてお読みいただけます。ただし、この連載は単独で読めるように書いています。
連載の進め方
全15回を3つの段階に分けています。
第1段階:脅威を知る(第2回〜第7回)
まず、どのような攻撃が存在するのかを学びます。
フィッシング詐欺、マルウェア、ランサムウェア、不正アクセス——それぞれの手口を具体的に見ていきます。敵の姿が見えなければ、備えようがありません。
第2段階:守る手段を身につける(第8回〜第14回)
脅威を理解したうえで、具体的な対策を学びます。
パスワードの作り方、多要素認証の設定、公衆Wi-Fiの使い方、SNSの設定——どれも今日から実践できる内容です。
第3段階:被害にあったときの対応(第15回)
万全の対策をしても、被害を完全には防げません。実際に何かが起きたとき、最初の数時間で何をすべきかを知っておくことが、被害の拡大を防ぎます。
連載を読み終えたら
15回を通して読むと、次のような状態になっているはずです。
- 届いたメールが怪しいかどうか、自分で判断できる
- パスワードの管理方法を決め、実際に運用している
- 重要なアカウントに多要素認証を設定している
- 何かが起きたとき、慌てずに初動対応ができる
完璧な防御は存在しません。しかし「知っていれば防げた」という被害は数多くあります。この連載が、その差を埋める助けになれば幸いです。
セキュリティ入門編の記事一覧
| 回 | タイトル | 分野 |
|---|---|---|
| 第1回 | セキュリティ入門編・はじめに(この記事) | 導入 |
| 第2回 | 情報セキュリティとは?守るべき3つの要素 | 基礎概念 |
| 第3回 | フィッシング詐欺とは?偽サイトの見分け方 | 脅威を知る |
| 第4回 | マルウェアとは?ウイルス・ワーム・トロイの木馬の違い | 脅威を知る |
| 第5回 | ランサムウェアとは?身代金を要求する攻撃の実態 | 脅威を知る |
| 第6回 | 個人情報はどこから漏れるのか | 脅威を知る |
| 第7回 | 不正アクセスの手口 ― パスワードはこうして破られる | 脅威を知る |
| 第8回 | パスワードの作り方と管理方法 | 守る手段 |
| 第9回 | 多要素認証とは?パスワードだけでは足りない理由 | 守る手段 |
| 第10回 | 公衆Wi-Fiは本当に危険なのか | 守る手段 |
| 第11回 | ソフトウェアの更新はなぜ必要か | 守る手段 |
| 第12回 | バックアップの取り方と考え方 | 守る手段 |
| 第13回 | SNSの設定で気をつけること | 守る手段 |
| 第14回 | スマートフォンのセキュリティ | 守る手段 |
| 第15回 | 被害にあったらどうするか | 対応 |
情報の正確さについて
セキュリティの分野では、誤った情報が実害につながります。この連載では、以下を心がけています。
一次情報を確認する
IPA(情報処理推進機構)やJPCERT/CCといった公的機関の資料、各サービスの公式ドキュメントを参照しています。
過度に不安を煽らない
「危険だ」と繰り返すだけでは、かえって思考が停止します。リスクの大きさを正しく伝え、現実的な対策を示すことを重視します。
更新日を明記する
攻撃の手口も対策も変化します。記事の更新日をご確認のうえ、重要な判断の際は最新の公式情報もあわせてご参照ください。
それでは始めましょう
次回は「情報セキュリティとは何か」という基礎から入ります。何を守るのかが分かれば、どう守るかも見えてきます。
難しく考える必要はありません。一つずつ、確実に身につけていきましょう。