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プライベートIPアドレスとグローバルIPアドレスとは?違いをやさしく解説【第22回】

この記事でわかること

  • グローバルIPアドレスとプライベートIPアドレスの違い
  • なぜ2種類のIPアドレスが必要になったか(IPv4の枯渇問題)
  • プライベートIPアドレスとして使える3つのアドレス範囲
  • 動的IPアドレスと固定IPアドレスの違い
  • 自分のIPアドレスをコマンドで確認する方法

はじめに

前回の記事では、サブネットマスクを使ってIPアドレスを「ネットワーク部」と「ホスト部」に切り分ける方法を学びました。

さて、パソコンのネットワーク設定を開くと 192.168.1.10 のようなアドレスが表示されます。ところが「自分のIPアドレスを調べるサイト」にアクセスすると、まったく違う番号が出てくる——そんな経験はないでしょうか。

あの2つは、どちらも「IPアドレス」という名前ですが、役割がまるで違います。一方がプライベートIPアドレス、もう一方がグローバルIPアドレスです。


IPv4アドレスが足りなくなった

2種類のIPアドレスが必要になった理由は、「IPv4アドレスの枯渇」にあります。

IPv4アドレスは32ビットの数字です。表現できる組み合わせは 2の32乗 = 約43億通り。一見すごい数のように思えますが、現在インターネットにつながっているデバイスは——スマートフォン・パソコン・タブレット・スマートテレビ・防犯カメラ・IoT機器——を合わせると100億台を超えると言われています。43億では全然足りません。

IPアドレスを世界規模で管理する機関「IANA(Internet Assigned Numbers Authority = インターネット割り当て番号機関)」が保有する在庫は、2011年に底をつきました

IPアドレスはどのように配布されているか

グローバルIPアドレスは、次のような階層構造で配布されています。

IANA(世界全体のIPアドレスを一元管理)
  └─ RIR(地域ごとの管理機関)※世界に5機関
        └─ ISP(インターネットプロバイダー)
              └─ 企業・個人ユーザー
  • IANA:全IPアドレスの在庫を管理するトップの機関
  • RIR(Regional Internet Registry = 地域インターネットレジストリ):アジア・欧州・北米などの地域ごとに設置。日本はAPNICという機関の管轄
  • ISP:NTTやソフトバンクのように、一般ユーザーにインターネットサービスを提供する事業者

この流れでグローバルIPアドレスが配布されています。IANAの在庫が2011年に尽きた後は、各地域のRIRが保有していたアドレスの再配布や、返却されたアドレスの再利用でやりくりしている状態です。

この枯渇問題に対応するために考え出されたのが「グローバルIPアドレス」と「プライベートIPアドレス」を使い分けるやり方です。


グローバルIPアドレス——インターネットの「建物の住所」

Global(グローバル) は「地球規模の」「世界共通の」という意味の英語です。

グローバルIPアドレスは、インターネット全体で重複しない一意(ゆいいつ)なアドレスです。日本のパソコンからアメリカのサーバーにパケットを送るとき、宛先に書かれているのがグローバルIPアドレスです。世界中のルーターがこの番号をたどってパケットを届けてくれます。

アパートで例えるなら「東京都渋谷区○○1丁目1番地 △△マンション」という住所に相当します。世界に1つしか存在しない番地なので、どこからでも郵便を届けられます。

グローバルIPアドレスはISPから割り当てられます。自宅でインターネット契約をすると、プロバイダーがグローバルIPアドレスを1つ付与してくれます。パソコン1台ごとに付与されるのではなく、契約した回線(自宅のルーター)に1つが割り当てられる形です。スマートフォンもパソコンも、同じ1つのグローバルIPアドレスを通して外の世界とつながっています。

動的IPアドレスと固定IPアドレス

多くの家庭のインターネット契約では、接続のたびにグローバルIPアドレスが変わります。これを動的(どうてき)割り当てと言います。今日のIPアドレスと明日のIPアドレスが別の番号になることがあります。プロバイダー側でアドレスを使い回すことで、有限なグローバルIPアドレスを節約しているためです。

一方、常に同じグローバルIPアドレスを使い続ける固定IPアドレス(静的割り当て) もあります。自宅からサーバーを公開したい場合や、「このIPアドレスからの接続だけ許可する」というアクセス制限をしたい場合には固定IPが必要です。ほとんどのプロバイダーで追加オプション扱いになっており、月額料金が上乗せされます。


プライベートIPアドレス——内部ネットワークの「部屋番号」

Private(プライベート) は「個人の」「非公開の」「内部の」という意味です。

プライベートIPアドレスは、家庭や会社などの閉じたネットワーク内だけで使うアドレスです。インターネット上では通用しません。

アパートの「101号室」「202号室」のような部屋番号がぴったりの例えです。世界中のどのアパートにも101号室は存在しますが、それぞれの建物の中でしか意味を持ちません。隣のマンションにも101号室はあるけれど、混乱は起きません。プライベートIPアドレスも同じで、別の家庭のネットワークが同じ 192.168.1.10 を使っていても問題ありません。

プライベートIPアドレスとして使える3つの範囲

プライベートIPアドレスに使ってよい範囲は、国際標準の仕様書「RFC 1918」で3つ定められています。

アドレス範囲 CIDR表記 アドレス数 よく使われる場面
10.0.0.0 ~ 10.255.255.255 10.0.0.0/8 約1,677万個 大企業・大規模ネットワーク
172.16.0.0 ~ 172.31.255.255 172.16.0.0/12 約104万個 中規模ネットワーク
192.168.0.0 ~ 192.168.255.255 192.168.0.0/16 約65,536個 家庭・小規模オフィス

自宅のWi-Fiルーターが配るアドレスが 192.168.0.x192.168.1.x ばかりなのは、3番目の範囲が使われているからです。RFC 1918で定められた「プライベートアドレスとして使ってよい範囲」に含まれています。

10.x.x.x の範囲は約1,677万個というアドレス数を持つため、何千台ものPCやサーバーを抱える大企業のネットワークに向いています。会社のVPNに接続すると 10.x.x.x のアドレスが割り当てられた経験がある方は、それがこの範囲です。

この3つの範囲以外のIPアドレスはすべて、グローバルIPアドレスとして利用できる範囲です。

プライベートIPアドレスがインターネットに届かない理由

プライベートIPアドレス宛てのパケットは、インターネット上のルーターが転送しない設計になっています。RFC 1918に「プライベートアドレス宛てのパケットをインターネット上に流してはいけない」と定められているからです。

プライベートIPアドレスを差出人に書いた状態でパケットを送り出しても、どこかのルーターで弾かれて消えてしまいます。建物の中でしか通用しない部屋番号を書いた郵便物を外に投函しても、郵便局で「届け先不明」として戻ってくるイメージです。

では、プライベートIPしか持たない自宅のデバイスがなぜ普通にインターネットを使えているのか——その答えは「ルーターが代わりにグローバルIPで通信してくれる仕組み」にあります。次回の記事でその仕組みを詳しく見ていきます。


2種類のIPアドレスの使い分け

グローバルIPアドレス プライベートIPアドレス
使える場所 インターネット全体 内部ネットワーク内のみ
世界での重複 重複しない 他のネットワークと重複してよい
割り当て ISPが管理・付与 ルーターが自動で配布
外部からのアクセス インターネットから届く 外からは見えない
アドレス例 203.0.113.1 192.168.1.10

「インターネットの外」との通信にはグローバルIPが使われ、「家の中・オフィスの中」での通信にはプライベートIPが使われる——この役割分担が基本です。


自分のIPアドレスを確認してみよう

プライベートIPアドレスの確認

Windowsの場合

コマンドプロンプトを開いて次のコマンドを実行します。

ipconfig

「IPv4 アドレス」の欄に 192.168.x.x10.x.x.x が表示されます。

Macの場合

ターミナルを開いて次のコマンドを実行します。

ifconfig en0

inet のあとの数値がプライベートIPアドレスです。Wi-Fi接続なら en0、有線なら en1 を指定してください。

Linuxの場合

ip addr show

inet のあとにCIDR表記(例:192.168.1.10/24)でプライベートIPアドレスが表示されます。

グローバルIPアドレスの確認

グローバルIPアドレスは ipconfig などのコマンドには表示されません。デバイスではなくルーターが持っているアドレスだからです。

次のURLをブラウザで開くと確認できます。

https://ifconfig.me

数字だけが表示されます。それがあなたの回線のグローバルIPアドレスです。ipconfig で確認したプライベートIPと見比べると、まったく別の番号が出てくるはずです。


まとめ

  • グローバルIPアドレスはインターネット全体で一意な住所。ISPが割り当て、外の世界との通信に使われる。動的割り当てが基本で、固定IPは別途オプション
  • プライベートIPアドレスは内部ネットワーク専用の番号。RFC 1918で3つの範囲が定められており、インターネット上では通用しない
  • IPv4アドレスが世界規模で枯渇したため(IANAの在庫は2011年に底をつく)、グローバルIPとプライベートIPの役割分担が生まれた
  • 自宅のWi-Fiで 192.168.x.x が多いのは、RFC 1918で定められたプライベートアドレス範囲が使われているから
  • プライベートIPのデバイスがインターネットを使えるのは「NAT」という仕組みのおかげ——次回はその仕組みを学びます